神様紹介

色々な神様が神社で祀られていますが、ここでは古事記や日本書紀に載っている有名な神様を取りあげます。
西暦712年に編纂された古事記と720年に完成した日本書紀は、日本最古の歴史書であり物語でもあります。
その当時記された神様たちが、今でも一番に敬われ親しまれているのはすごいと思いませんか?
あまり神社に詳しくない方でも聞いたことがある神様がいると思います。
自分の好きな神様を見つけるのも面白いですよ。より親しみをもってもらえたら幸いです。

*親しみを持ってもらうために、できるだけやさしく気軽な文体を目指しました。
*画像・○○度数は管理人のイメージです。下手です。うまい人書いてくれ!
祀られ度は"どれだけ祀っている神社があるか"の管理人の感覚です。あまり自信ないです。

妹である君を、女性として愛しているッ! イザナキ、イザナギ伊邪那岐神、伊弉諾尊、)
イザナギ
活躍度★★★★神生み度★★★★★
祀られ度★★★綺麗好き度★★★★★
イザナミとは兄妹であり、同時に夫婦として生まれた男神で、日本を創った神様。
オノゴロ島と呼ばれる島を作り、宮殿を立て、イザナミから声を掛けられて子供を作ります。
日本神話では最初の夫婦は兄弟であり、最初の子作りは近親相姦でした。
この時の表現がおもしろく、イザナキは「体に余っている部分がある」と言い、イザナミは「体に足りない部分がある」と気づき、この部分を合わせてみようということで、子作りを行います。
最初に骨のないヒルコ、次に淡島が生まれます。子供が気に入らなかったようでどこかに流してしまうのですが、高天原の神様達に話すと、男から先に声をかけて子供を産みなさいと指摘されます。女性から誘ってはいけないという訓示といわれますが、近親相姦だったから不具の子供が生まれたという指摘もされたりする話です。イザナキの方から「おお、なんと美しい女性だろう」と声をかけ子供を作ると、素晴らしい島がたくさん生まれました。これが大八島、すなわち今の日本というわけです。
その後悲しみに暮れたイザナキは、死んでしまったイザナミを連れ戻そうと黄泉国(死の国)に行くものの、妻の醜くなった姿を見て逃げ出します。怒り狂ったイザナミに殺されかけ、モモを投げながら命からがら地上に戻ってきて、黄泉国でついた穢れ(生命力を枯れさせるもの。気枯れ。)を祓うために川へ。体を洗った時にアマテラス・ツクヨミ・スサノオの三御子ほか、多数の神様が生まれ大喜び。母に会いたがるスサノオを叱って追放しますが、それだけ妻が怖かったのだと思います。
 主な神社:多賀大社(滋賀県)、伊弉諾神宮(兵庫県)


愛ゆえに、あなたが憎い!殺したい! イザナミ伊邪那美神、伊弉冉尊
イザナミ
活躍度★★★★神生み度★★★★★
祀られ度★★★恐妻度★★★★★
 イザナキとは兄妹の関係であり、同時に夫婦。日本を創った神様。
オノゴロ島の宮殿で、イザナキの体には突き出た部分がありイザナミの体には足りない部分があるのに気づき、これを合わせて国を生むことに。(ずいぶん大胆な表現ですね。)最初に生まれたヒルコ、淡島を流してしまいますが、イザナキから声をかけて再び出産すると、淡路島、四国、隠岐島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州と八つの島が生まれ(大八島)、その後も子供を産んで日本を創っていきます。しかし、ある時にカグヅチという火の神を産んだときの火傷がもとでイザナミは死んでしまいます。カグヅチを殺し(ひどいパパです)、妻を想い黄泉国(死の国)まで来たイザナキに、他の神様にかけあうので覗かないようにと言うのですが、男は見たくなるものです(笑)タブーを犯したイザナキに、ウジがたかって雷神が体でゴロゴロと鳴いている死体になった姿を見られて激怒するイザナミ。逃げるイザナギを捕らえようと、ヨモツシコメという神々を放ち、すごい形相で追いかけます。黄泉比良坂(よもつひらさか)の出口を岩で塞がれ、呪いの言葉を発します。
イザナミ「愛しい我が夫よ。こんなひどいことをするならば、私はあなたの国の人間を一日に1000人殺しましょう。」
イザナキ「愛しい我が妻よ。ならば私は産屋を建て、一日に1500人の子供を産ませよう。」
こうしてイザナミは死の神様となり、黄泉津大神と呼ばれるように。
 主な神社:多賀大社(滋賀県)、伊弉諾神宮(兵庫県)


最高神は、悩めるお姉さん アマテラス〔天照大神、天照皇大神、天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)、大日孁貴神(おおひるめむちのかみ)、稚日女尊(わかひるめのみこと)〕
アマテラス
登場度★★★★★祀られ度★★★★
お姉さん度★★★★★優しさ度★★★★★
太陽を司る女神で、日本の最高神。最高神が女神というのは日本神話の特徴でもあります。
イザナキが黄泉国(死の国)から帰り、川で禊(みそぎ)を行い、左目を洗った時に生まれた神様。
弟のスサノオとケンカ(?)したり、かばったり、スサノオの暴れん坊っぷりに手を焼いて天岩戸(あめのいわと)に籠ったりして、弟のことを真剣に考えているからこその行動が古事記に描かれています。でも彼女は非常に大切な神様ですので、弟にばかり構ってもいられません。彼女が籠ってしまうと、世界は暗黒に覆われ悪い神様がはびこってしまうので、他の神様はあの手この手で天岩戸に引き籠った彼女を連れだしました。
その後、地上の平定を行い、彼女の孫にあたるニニギに「これを私だと思って、頑張ってね」と自らの依り代である八咫鏡(三種の神器の一つ)を持たせ、地上に遣わします。いつでも見守っているから、それを忘れてはいけませんよというお姉さん的な優しさです。ニニギの子孫、つまりアマテラスの系譜が今の天皇まで脈々と続いているとされています。
最も頒布している神宮のお札はアマテラスの加護があるもので、お伊勢さん、てんしょうさんと呼ばれたりも。日本全国を守ってくれているのですね。
 主な神社:皇大神宮内宮(三重県)、熱田神宮(愛知県)、生田神社(兵庫県)、全国に神明神社


暴れる力が革命へ?日本神話の異端児 スサノオ素盞嗚尊須佐之男命、建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)〕
スサノオ
活躍度★★★★★神生み度★★★
祀られ度★★★★★暴れ度★★★★★
アマテラスの弟で、嵐の神様。イザナキが禊をして、鼻を洗った時に生まれました。
アマテラスは高天原(たかまがはら。天の神様の世界)、ツクヨミは夜、スサノオは海を守るようにイザナギに言われますが、スサノオは嵐のように泣きわめいて死んだ母に会いたいと懇願します。怒ったイザナギによって地上へと追放されますが、母に会いに行く前に姉のアマテラスに挨拶しようと思い、高天原へ。武装したアマテラスを退け、高天原で暴れまわり、アマテラスを籠らせた罰でまた追放されます。若さゆえの過ちといいましょうか、この頃のスサノオは非常に残虐な面が目立ちます。
その後、ヤマタノオロチを倒してクシナダヒメを助ける英雄的な一面を見せたり(尾から出てきたのが草薙剣)、日本で最初の歌を詠んでロマンチックな一面を見せたり、根の国(死の国)でオオクニヌシにいじわるしつつも「地上の王となれ」と認める老翁的な一面を見せたり、神話ではスサノオのいろんな性質が語られます。いわゆるトリックスター。荒ぶる力で新しい何かをもたらす神様。古事記での名称、建速スサノオ命のタケハヤとは、勇猛果敢という意味。
京都の八坂神社ではその性質から、インドの牛頭天皇と習合しています。
 主な神社:八坂神社(京都府)、須佐神社(島根県)、熊野本宮大社(和歌山県)、氷川神社(埼玉県)、全国にある祇園社、八坂社、津島社、熊野社


語られない月の神秘 ツクヨミ、ツキヨミ月讀尊、月読尊、月夜見尊
ツキヨミ
活躍度★★祀られ度★★
神秘度★★★★中性度★★★★
月を司る神様で、月読とは暦を見ること。イザナキが禊をして、右目を洗った時に生まれました。描写が少なく、男神か女神かは不明だったりします。中性的な魅力などでしょう。
アマテラス、ツクヨミ、スサノオが生まれた時にイザナギが最も素晴らしい三神だと称えますが、古事記では目立った活躍がありません。古事記には口や鼻から食べ物を取り出して差し出したオオゲツヒメに対して不浄だと切りつけたスサノオの話がありますが、日本書紀では同様の展開でツクヨミがウケモチを怒って殺す話として変えられています。これに怒ったアマテラスがもう会うことはないでしょうとつっぱねたことから、太陽と月は一緒に昇らないのだと言われたりします。
三神の真ん中的な神様があまり活躍せずに、残りの二神の間で揺れ動く天秤の中央的な役割を担う例はツクヨミの他にもあり、天と地を分けた初めの三神(タカミムスヒ、カミムスヒと中心的なアメノミナカヌシ)や山幸・海幸の話(ホオリ、ホデリと中心的なホスセリ)が挙げられます。詳しくは、神話と日本人の心(河合隼雄著)をご覧ください。
 
 主な神社:皇大神宮別宮月読宮(三重県)、月夜見宮(三重県)、月讀神社(京都府)


神を楽しませる能力こそ、巫女の原点 アメノウズメ(天宇受売命、天細女命)
アメノウズメ
活躍度★★★★祀られ度★★★
芸能度★★★★★巫女度★★★★★
芸能の神様で、芸能人から崇敬を受ける神様。神話での役割から巫女さんの原型といわれます。アマテラスの岩戸隠れ、天孫降臨と古事記の大きなトピック2度に渡って大活躍する女神。
アマテラスが岩戸に隠れた時に、オモイカネを参謀として、外に連れ出す作戦が行われます。まず、岩戸の前に神々を集め、アメノウズメが神がかりにあったかのように、乳房を掻き揚げ、女陰を出して、淫靡に激しく踊ります。これを見て神様たちは大爆笑するのですが、それに気になったアマテラスが顔を覗かせてきます。「あなたよりすばらしい神様が来たので喜んでいるのですよ。この鏡に映っています」と言うアメノウズメ。鏡をよく見ようとアマテラスが出てくると、タジカラオに腕をつかまれ、フトダマに岩戸を注連縄で閉じられ、「もう篭らないでください」で話の結末を見ます。

ここで神様を笑わせた踊りが現在の神楽、巫女さんが神様を楽しませるための舞の原型といわれますが、淫靡な踊りで何故神様たちはどっと笑いだしたのでしょうか。
この後の天孫降臨神話におもしろいセリフがあります。何やら眩しく光っている神様を見つけ、アマテラスはアメノウズメにこう言うのです。
「あなたはか弱い女性ですが、どんな神さまとにらみ合っても気後れせず圧倒できる神です。あの神に何をしているのか尋ねなさい。」

神様を笑わせた踊りと合わせると、一つの可能性がでてきます。
'めちゃくちゃおもしろい顔なんじゃないか説'です。
おもしろい顔だったからそのシュールさに神様も笑ったり、にらめっこで負けないと考えると一応辻褄が合います。実際におもしろい顔のアメノウズメの像が存在したり、おかめ様・お多福様として扱われている地域があります。
ただ男としては、巫女さんの原型ですし、美人がいい!そんな願いを込めて画像を書きました。きっと彼女は美人で何事にも臆することのない精神力と魅力があったのだと、願いを込めて。
サルタヒコとの話は以下に。
主な神社:車折神社内摂社芸能神社(京都府)、賣太神社(奈良県)


海底へと沈みし太陽? サルタビコ、サルタヒコ(猿田毘古神、猿田彦神、猿田比古神)

活躍度★★★祀られ度★★★★
異人度★★★★★悲劇度★★★★
高天原の神様の先導役を買って出た国津神(地上の神様)で、交通安全のご神徳で知られます。
天の神様が地上に降りてくる(天孫降臨)と聞いて、天の八衢(あめのやちまた)にてピカピカ光って待っていた律儀なお方。アマテラスに対して男性の太陽神であるという説も。
日本書紀には、鼻の長さ七咫(約1.2M)、背の丈七尺(約2.1M)余り、身長七尋(約12.8M)、目は八咫鏡の如く光っていてほおずきのようであったと具体的な外見が記され、かなり人間離れしていることが分かります。絵を書いたら怪しい宣教師みたいになってしまいました(笑)鼻が長いことから天狗の原型と言われます。
天孫降臨も無事に終わり、アメノウズメはニニギにこう言われます。
「最初にアメノウズメがサルタヒコに名乗らせたので、あなたが彼を地上に送り、これからは彼の名前を名乗りなさい。」こうしてアメノウズメはサルタヒコの名前を取って、猿女君と名乗るようになります。猿女君とは宮廷で実際に仕えていた巫女の一族で、そこから古事記に持ってこられたのでしょう。サルタヒコの名を頂いたことからこの二神は夫婦であると言われています。お似合いの変わり者カップルです。ところがこの後すぐに、サルタヒコは海で漁をしている時に、貝に手を挟まれおぼれ死んでしまいます。あれだけ光を放っていた12Mもの立派な神様が貝にやられ海底の暗闇に引きずりこまれるとは・・・。何が起こるか分からないものです。このあとアメノウズメが天の神様に忠誠を誓わないなまこの口を切るエピソードがあり、海に関連した話が続きます。二神は伊勢地方の海人から信仰を受けていたと考えられています。
主な神社:椿大神社(三重県)、猿田彦神社(三重県







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